2010年1月13日水曜日

日本最初の和英辞典

日本で最初の和英辞典が出版された町、横浜。もちろんヘボン博士の手によるもの。『和英語林集成』(1867)。英語のタイトルは、シンプルに、A Japanese and English Dictionary です。

和英語林集成については、ヘボン塾の流れをくむ、明治学院大学図書館や京都外国語大学図書館のウェッブにきちんと解説されているので、ぜひそちらをご覧ください。

明治学院大学図書館
http://www.meijigakuin.ac.jp/mgda/kaisetsu_tokucho.html

京都外国語大学図書館
http://www.kufs.ac.jp/toshokan/50/wei.htm

なお、ヘボン塾で教えていて、後に女学生を引き受けて教育を続けたメアリー・E・キダーの作ったのがフェリス女学院。もしかしたら、横浜は大学発祥の地といってもいいのかもしれません。

さて、詳細は図書館のページに譲って何を書きたいのかというと、ヘボン博士はとっても先見の明がある人だということについてです。そう思う理由をリストにしてみます。内容は上記のウェッブを参考にしています。

(1)縮約版が発行されていること
当初は在日の宣教師向けに出版されたもののようですが、世界中を旅して歩く宣教師たちにとって言葉は大切。持って歩ける辞書はとても実用的な道具だったと思います。携帯に便利なこの辞書は日本だけでなく、ロンドン、ニューヨーク、上海でも発行されました。最初からグローバルに出版されているところも、この辞書の優れた点です。

(2)日本語の音を忠実に再現していること
ヘボン博士は、日本人の発音を直接聞いて、その音を忠実に再現して辞書に載せています。だから、「新橋」は Shinbashi ではなく、shimbashi となっています。これがなぜすごいのかというと、文字から入る言葉ではなく、身体(耳・脳)から入ってくる言葉を大事にしていたという点です。これは、英語を学ぶ上で、今の日本人にもっとも欠けていることのように思います。

(3)日本語が横書きになっている
ワープロが一般的になってから、もちろんインターネット時代の現代からすると当たり前のことですが、当時日本語は全て縦書きでした。実は、和英五林集成の後に出版された『和譯英辭書(薩摩辞書)』という辞書がありますが、これは日本語が縦書きです。横書きの日本語は大きな意味をもっています。もしかしたら言い過ぎかもしれませんが、ヘボン博士が日本語を横書きにすることを思いつかなかったら、もしかしたらワープロ、インターネットが普及するようになって初めて、日本語が横書きになった... そんなことが起きていたかもしれません。

こんな画期的な工夫をしたヘボン博士のことですから、ヘボン塾で使われた英語のテキストはいったいどんなものだったのか。こちらは、主にヘボン夫人が教えていたようですが、ぜひ実物をみてみたいものです。

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