2010年2月2日火曜日

日本文学翻訳やりませんか(英語に翻訳)?

外国の作家の本を翻訳で読むというのは日本の場合にかなり当たり前のことだと思います。
ところが、外国にいて、逆に日本の作家のものを読もうとすると、これがなかなか手に入らないのです。

アメリカの大学院に留学していた時は、比較文学というものを研究していました。日本の文学との比較というのをよくやらされていました。論文を書いていて、ある作家の作品の一部を引用することがよくあります。原文(日本語の文学全集や作品は大きな大学だとかなりそろっています)と一緒に英語の翻訳も載せようとするとけっこう苦労するのです。

三島由紀夫や谷崎潤一郎、夏目漱石、また現代では村上春樹など、本当にメジャーな作家であれば翻訳が手に入りやすいのですが、そうでないとさんざん探して、結局手に入らなくて、自分で訳したりということがかなりありました。また、メジャーな作家でも、すべての作品が訳されているわけではないので、苦労することが少なからずありました。

逆に、小説の授業を取っていて英語以外の言語の小説が題材に取り上げられたりするときは、時間短縮のために(週に分厚い小説を4、5冊読むのが普通です)日本語訳で読んだりもしました。かなりマイナーな小説が取り上げられたりするのですが、記憶にある限り、翻訳が手には入らなかった作品はなかったと思います。(岩波文庫にはずいぶんお世話になりました。)

日本は翻訳大国といわれたりもしますが、日本の文学が外国語に翻訳されないのはなぜでしょうか。
あまり関心がないから? いえ、やはり世界の経済大国。いろんなことで話題に上る日本の文化に興味を持つ人は決して少なくありません。もちろん、YouTubeなど、ネットで入手出来る情報が増えたとはいえ、やはり本は一番手軽に文化に触れられる手段です。だから、あれば本を読みたいという人はかなりいるはずです。

日本の文学が外国語に翻訳されない最大の理由は、おそらく翻訳者が少ないということです。日本語学習者が全世界で約300百万人いるといわれていますが、外務省の子供向けのサイトには、日本語学習者の多い国ということで、こんなデータが載っていました。

日本語学習者の多い国・地域
(単位:人 出典:国際交流基金 2003年海外日本語教育機関調査結果概要)

1 韓国:89万4,131
2 中国:38万7,924
3 オーストラリア:38万1,954
4 アメリカ:14万0,200
5 台湾:12万8,641
6 インドネシア:8万5,221
7 タイ:5万4,884
8 ニュージーランド:2万8,317
9 カナダ:2万0,457
10 ブラジル:1万9,744
(http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/ranking/nihongo.html)


一番多い韓国でも90万人いません。オーストラリア、アメリカ、ニュージーランド、カナダの4カ国を足しても60万人にはとどきません。

ちなみに、日本英語検定協会(英検)によると、英検の年間受験者数は300万人を超えるそうです。
当然英語を勉強している中学校、高校の生徒数は合わせて、約750万人。専門学校、短期大学、大学でも英語が必須のところが多いので、この人数は約380万人。
合計で1,130万人になります。これに社会人を合わせるといったい何人になるでしょうか。
とにかく英語学習者の数が人口に比べても、かなりの割合を占めることがわかると思います。

これだけ裾野が広い中ですから、優秀な翻訳者が多く出てきても不思議はないかと思います。それに比較すると、全世界で見てもようやく300万人の日本語学習者の中で、日本文学の翻訳をやろうという人がいかに少ないことでしょうか。

こうやって見てみると、日本人は英語ができないと言われますが、英語ができる人の数は、決して少なくないと思います。ただ、分母が大きいので少なく見えるだけなのかもしれません。


もし、あなたが翻訳者に、特に出版翻訳の仕事をしたいと思うのであれば、もう飽和状態の英語翻訳ではなく、日本語を英語に訳する翻訳家になるというのはどうでしょうか。英語が不安だという方は、チェックしてくれるネイティブと組んで共同で翻訳をするという手もあります。

どなたか、興味のあるネイティブスピーカーの方! 一緒に翻訳やってみませんか?








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